束の間を超えて ～片想いする同僚兼友人に、片想いをした～ 【番外編追加済】

　そのときテーブルの上にある洋輔のスマホが振動した。

　すぐに止まったそれは電話ではなく、何かのメッセージか通知を受け取ったのだろう。洋輔はそちらをちらりと見やったかと思えば、すぐにスマホを手にして何やら打ちはじめた。おそらくメッセージに返信しているのだろう。


　彩子はそれを見て胸が苦しくなった。

　洋輔は気づいていないようだが、今の洋輔の表情は彩子といるときのそれよりもずっと甘くなっている。

　あのとき、小谷に駆け寄ったときと同じ表情だ。きっと小谷からメッセージを受信したのだろう。そして小谷からのメッセージにはすぐに返信をしたいのだ。


　いつもなら彩子のことを優先してくれるのに、今は彩子を放ってスマホに夢中になっている。彩子の優先順位が下なのだと見せつけられたようで彩子は悲しくなった。

　別に彩子だって四六時中かまってほしいわけではない。ただいつもとは違うその行動に打ちのめされるのだ。