束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 今までの恋人たちもさぞつらかったことだろう。別れを選んでしまうのも頷ける。

 だが彩子はすべて知った上でこの場所にいる。このくらいの傷、我慢できなくてどうするというのだ。

 彩子はそっと目を閉じると、自分をいたわるように小さく深呼吸した。


 メッセージを返し終わったのか、スマホを元の場所に戻した洋輔は「ごめん」と言って彩子に申し訳なさそうな表情を見せた。そんな顔をされれば余計にむなしくなる。

 彩子はまったく気にしていないという素振りを見せたくて、「ううん」とだけ言って、パソコンに視線を向け、店探しへと思考を切りかえた。
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