私 ホームヘルパーです。

第2章 秘密のときめきを、、、

 一か月が経ちましてホームヘルパーの仕事にも慣れてきました。 公子さんたちもようやく私から離れてくれたようです。
それでも、、、。 「失敗しないようにね。」とか「あなたはすぐに怒るから、、、。」とか要らんことを言ってきます。
すぐに噴火するのはあんただろうが! 表情には出さないけれど、目が訴えてます。
鈴子さんはそれを見ながらニヤニヤ笑ってますねえ。 きもいわ、こいつも。
 さてさて仕事は前述の通り。 ここでは割愛させていただきますねえ。
だって面倒くさいんだもん。 気難しい先輩が多くて、、、。
まあねえ、年の功って言うんですかねえ? とにかくうるさいの。
でもやっとスルーすることが出来るようになってきたわ。 悪い子ねえ。
 昼になるとささっと家へ帰ってのんびりゆったりまったりしまあす。 おもちゃはまだまだ。
あれは真夜中の楽しみだからねえ、エヘヘ。 っていやらしい笑い。
旦那様も忙しくなったのか、夜の営みが激減してしまってねえ。 三人目はさすがに要らないわよ。
私の友達の妹は毎年子供を産んでるって聞いたけど、そんなに種が有るのか?
まあ、いいけどさあ。 好きな人は好きなんだから。
やりたかったら20人でも30人でも産めばいいじゃないの。 15歳から産んだってそれくらいは産めるでしょう?
何か危険な私ね。 ああ、やばいやばい。

 昼休みを終えて事務所に戻りますと、公子さんが焦ってます。 「どうしたんですか? 先輩。」
「どうもこうもないのよ。 高橋さんが倒れちゃって、、、。」 「家には行ったんですか?」
「電話貰ったばかりだからさあ。」 「じゃあ、私が見に行ってきますね。」
泡を吹いている公子さんを尻目に私は事務所を飛び出した。 家に行ってみるとあらあら、、、。
救急車も来てるしおばさんたちも集まってるし、出る幕無いわねえ。 安心して事務所へ舞い戻ってまいりました。
「大丈夫ですよ。 親戚も集まってるし、救急車も呼ばれてたから。」 「そ、そ、そうなの? 良かったわ。」
ガクッと腰が抜けた公子さんはそれからしばらく立てませんでした。 そっちのほうが心配やないかい。
 私は午後も出歩いてます。 って遊んでるわけじゃないのよ。
公子さんの代わりを仰せつかって働いてるの。 ああ大変。
でもこれで給料は増えるわねえ。 ラッキーラッキー。
思わず踊り出しちゃいそうだわ。 私、ラッキーマン!
ってさあ、カモメに吹かし芋を取られてラッキーなの? 突っ込み。
 はいはーい。 お母さんは家に帰ってきましたよーーーー。
さてと、今日は子供らも友達の家に泊まってるし、旦那も珍しく出張に行かされてるから完全に一人なのでーーーーす。
こんな嬉しい夜も無いわねえ。 早速におもちゃで遊んじゃいましょうか。
ってまだ、夕方じゃないの。 ざんねーーーーん。
それでもでもでも一休みしましょうねえ。 奥様は大変なのです。
 でもやっぱり寂しいからおもちゃを出してきちゃったわ。 こっそりと遊んじゃいましょう。
若かりし頃の彼を思い出しながら、、、ねえ。
と思ったら、ピンポーン、、、。 真っ青になって玄関へ、、、。
誰かと思ったら郵便屋かい。 脅かすなっつの。
書留なんてのが来るから印鑑だのなんだのって、、、うるさいなあ 分かったわよ ほら。
うっとおしい客を蹴り散らしてまたまたお布団の中へ、、、。 今度こそ、、、。
そう思っておりますと電話が、、、。 「んもう、、、邪魔するな!」
誰に怒鳴ってるんだか知りませんが、イライラしながら受話器を取ります。 「おー、お前か。 明後日まで俺は帰れんからよろしく。」
「はいはーい。 あなたも気を付けてねえ。 変な女に捕まらんようにねえ。」 愛想良く受け答えをしまして電話を切ります。
さあ、今度こそ、、、と思ったら疲れてしまって夜中まで寝てしまいましたわ。 ざんねーん。
 ってなわけで夜中にこそこそと遊んでみたんだけど、なんか面白くない。 おもちゃだけじゃダメだなあ。
そう思ったから次はYouTubeでも見ながらやろうっと。 何を張り切ってるんだか、、、。

 次の日もまたまた朝から大忙しです。 事務所に行くと予定表を貰いました。
「武井さん、そんなに回って大丈夫?」 公子さんが心配そうに覗いてきます。
「ぜんぜーん大丈夫ですよーーー。 若いから。」 「あらそう? でも大変よ。 回れない時は言ってね。」
大丈夫、あんたと回るほうが大変だから。 「では行ってきます。」
事務所を出る時が一番嬉しいのよねえ。 タコ婆と一緒に居なくて済むから。
そうやって張り切って掃除をしていますと、、、「こんにちはーーーー!」って聞き慣れた声が、、、。
「お元気ですかーーーー?」 何であんたが来るのよ?
「武井さんはやってくれてますか?」 「いい人だねえ。」
「そうかい? じゃあお任せしようかな。」 ずいぶん前から任されてますがねえ。
公子さんはどうやら見回りに来たようです。 あんたのことを見回ってやりたいわ。
 次の家に行ったらまたまた公子さんが、、、。 やること無いんかーーーーい?
さすがに3軒目までは、、、と思ったらやっぱり来たわ。 何なの こいつ?
さてさて、昼食を食べにうどん屋に入ったら奥のほうに公子さんが座っていました。 慌てて飛び出す私なのです。
それでもってセブンで弁当を買ってきました。 あんちきしょうめ!
饂飩くらいゆっくり食べさせてよね。 ったく、、、。
どっかで昼寝したいなあ。 タコの顔見たら眠くなっちゃうじゃないよ。 あの人は睡眠薬なんだから。
ボーっとして歩道を歩いていますと、どっかで見たような顔が、、、。 誰かと思ったら義男じゃないか。
高校生の時、三日くらい付き合ってやったのよ。 あんまりにも寂しそうだったから。
でもさあ、その後で私よりもブスな恵理子と付き合ってそのまんま結婚しちゃったのよねえ。
「おー、懐かしいなあ。」 「え? 私に言ってる?」
「お前に言わないと誰に言うんだよ?」 「カラスに言ってるのかと思ったわ。」
「人が悪いなあ 相変わらず。」 「相変わらずって何よ 相変わらずって。」
「お前だろう? 俺に恵理子と付き合わせたのは。」 「は? そんな無駄なことしねえし。」
「無駄って何だよ 無駄って。」 「揃いも揃って無駄じゃねえか。」
「お前もな。」 相変わらず、口悪いなあ あいつ、、、。
見上げた空は何処までも真っ青、、、詩人になりそうな青い空なのですねえ。
青い雲だとお線香ですねえ。 南無南無、、、。
さてと、昼の仕事開始だあ! 公子さんはもう来ないよね?
後ろをチラッと振り向いてから次の家へレッツゴー!
 バタバタと仕事を終わらせまして5時には我が家へ帰ってきました。 「ただいまあ。」
「お帰りなさーーーーーーい。」 「え? 何であんたが居るの?」
「今日はねえ、部活が休みになったのよ。 だから早く帰ってきちゃった。」 「試験近いんじゃないの?」
「楽勝 楽勝。 クラスのがり勉君がノートを貸してくれるって言うから暗記すれば大丈夫。」
「一度も暗記したこと無いでしょうに。」 「大丈夫大丈夫。」
娘さんは今日もご機嫌です。 明日には泣いてるんだからほっときましょうね。
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