ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 恭ちゃんに話した方がいいのか迷った。
 心配かけてたし、一応話しておいた方がいいかな――。


「詳しくは言えないけど、星來の父親と一緒になることになったの」

「え……、マジで?」

「今すぐってわけじゃないし、娘にもまだ話せてないんだけど、色々落ち着いたら……」


 多分日華さんと事務所の間で何かあるとは思うんだけど……私もわかっていない。


「あかりはそうしたいのか?」

「……。」


 こくりと頷く。


「一度はお別れしたけど、やっぱり彼のことが好きだと思ったから」

「そうか……」


 恭ちゃんは一瞬表情を曇らせたように見えたが、すぐに顔を上げて微笑んだ。


「よかったな。子どもにとってもそれが一番だと思う」

「ありがとう」

「おっと、そろそろ戻らないと。あかりはまだゆっくりしてていいぞ。先に会計しとくから」

「本当に奢ってくれるの?」

「紹介ボーナス入ったからな」


 恭ちゃんはニヤッと笑って伝票を持って先に席を立つ。


「ありがとう」


 私はコーヒーだけ飲んで会社に戻った。
 
 そういえば、恭ちゃんとピクニックに行くこと日華さんに話した方がいいのかな。またヤキモチ妬くかもしれない。
 私はLIMEでそのことを伝えた。


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