ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 ニコッと微笑み、大事そうにハンカチを受け取った彼に心臓が小刻みに脈打つ。
 この音が聞こえていないことを祈りながら、再び視線を星來に戻した。

 ダンスが終わり、大きな拍手に包まれた。
 日華さんは人一倍大きく手を叩き、星來を真っ直ぐ見つめて嬉しそうに頷いていた。
 それに気づいた星來もニコニコ微笑んでいる。


「すごかったね、星來。すっごく上手だったよ!」

「かわいかったなぁ。星來ちゃんは天才だね!」

「えへへ〜」


 褒められて星來は得意げになり、何度もダンスの振り付けを見せてくれた。


「頑張った星來ちゃんにご褒美プレゼントしないといけないね」

「ごほーび?」

「うん、おじちゃんが何でもプレゼントするよ」

「じゃあね、せいら、どうぶつえんいきたいの」

「動物園?」

「うん。まあたんがね、パンダさんみたんだって」


 パンダと言えば動物園の人気者。
 そういえば星來、TVでパンダを見てから動物園に行きたがってたな。


「じゃあママと行こっか」

「にちかさんもいっしょがいい」

「に……おじちゃんはお仕事があるから」

「大丈夫、何とか調整するよ。動物園、約束ね」


 日華さんはしゃがみ込んで小指を差し出す。
 星來も小指を絡ませ、ニッコリと笑った。


「やくそく!」


< 48 / 195 >

この作品をシェア

pagetop