ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
その答えは、案外すぐにわかってしまった。
あかりには星來ちゃんという娘がいたのだ。
初めて見た時は少なからずショックを受けたが、すぐにあかりの左薬指に指輪がないことに気づく。
案の定、星來ちゃんに父親はいなかった。
もしかして、星來ちゃんこそが俺の前から消えた理由だったんじゃないか――?
俺のことを思って、一人で産んで育てようとしたのかもしれない。もしそうだとしたら……今度こそ離すわけにはいかない。
星來ちゃんが懐いてくれるのをいいことに、強引に家に呼んでしまった。
求職中だというあかりに家事代行を提案し、更にアパートが水浸しになったのでここに住まないかと勧めた。
必死に繋ぎ止めようとしているのは自覚している。だが多少強引でも、もう二度とあかりを手離したくなかった。
そしてもしかして、という疑惑はどんどん確信に変わっていく。
星來ちゃんは俺に似ている気がする。あの後あかりが妊娠していたことは十分考えられる。
「星來ちゃんの父親は、俺なんじゃないの?」
「違います」
否定されてしまったが、あかりの反応的に嘘なんじゃないかと感じた。
あかりは基本的に嘘が下手だが、時々女優のような演技力で嘘を吐くことがある。
それは、嘘が相手のためになると確信している時だ。