ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。

　愚かな自分を許して欲しいとは言わない。こんな男の傍にいたいと思えなくても、仕方がない。

　でもごめんね。どうしようもなく好きでごめん。


「……っ、う……っ」


　急にあかりはボロボロと泣き出した。それまで我慢していたものが、全て崩壊したように。


「……私、好きでいいんですか……？

日華さんのこと、好きでいていいんですか……！？」

「っ、」


　泣きじゃくるあかりを引き寄せて唇を塞ぐ。
　ここが外であることも忘れて、夢中で唇を貪った。

　とろんとした潤んだ瞳、蒸気した桃色の頬が色っぽくてかわいい。その柔い頬を撫で、真っ直ぐ目を見てもう一度尋ねた。


「――本当のことを教えて。星來ちゃんの父親は誰？」

「……日華さん、です」


　やっと聞きたかった答えが聞けた。


「星來は、日華さんの子です……っ！そんなの言えるわけないじゃないですか！
日華さんは今が大事な時なのに……っ、邪魔したくなくて……っ！」
「あかり」


　泣きじゃくるあかりを強く強く抱きしめる。


「あかりより大事なものなんてないよ」

「っ、そんなこと……」

「星來ちゃんのことも絶対に守るから。俺を信じて欲しい」


　何があっても二人を守る。守らせて欲しい。
　そして二度とこの手を離さないと誓った。