ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 こうやって他人を思いやる優しさは、あかりに似たのだろう。
 かわいくてこんなにも愛おしい。

 お子さまランチにはしゃぎながら、美味しそうに食べる姿もとてもかわいい。なんて心が安らいで癒されるのだろう。


「そういえば星來、おじちゃんにありがとうした?」

「あっ。にち、おいたん。あのね、ぱんださんありがとお」

「どういたしまして。気に入ってくれた?」

「うん!ぱんださん、だいすき!」

「そう、よかった」


 ああ、かわいいなぁ……。
 星來ちゃんが喜んでくれるなら、なんでも買ってあげたいしなんでも食べさせてあげたい。

 この尊い時間が本当の家族としての時間になるように、俺が頑張らないといけない。

 帰宅してから星來ちゃんはキョロキョロと見回し、俺に尋ねた。


「もうにちかさんってよんでもいいの?」

「あ、そうだね。お家に着いたからね」

「なんでおそとではめっ、なの?」

「うーん、僕のことは秘密だから。星來ちゃんとママと、僕だけの三人の秘密なんだよ」

「ひみつ!わかった!」


 星來ちゃんの素直で聞き分けのいいところは、本当に助かる。
 賢くていい子で愛らしくて、この子のためならなんでもしてあげたい。

 秘密じゃなくて、家族として堂々と外を歩けたら――。


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