ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
* * *
翌日。俺は現場に入る前に話がある、と水川くんに時間を作ってもらった。
いつも通り車で俺のことを迎えに来た水川くんを招き入れ、あかりを紹介する。
「こちら、加賀美月さん。俺の一番大切な人なんだ」
「えっ……」
「初めまして、加賀美月です……」
とりあえず今の担当マネージャーである水川くんに話したい、会って欲しいと言ったら、あかりは渋々ながらも承諾してくれた。
状況が飲み込めていない水川くんは、俺とあかりを交互に見返して戸惑っている。
「え?えっと……?」
「彼女がずっと探していた元恋人なんだ」
「えっ、ええ?」
「彼女には今3歳の娘がいる。俺の子なんだ」
「えぇーー!?」
心底驚いている水川くんは、鯉のように口をパクパクさせている。
「俺も最近知ったことなんだけど……」
「に、日華さんに、子ども……?」
「水川くん、俺はあかりと一緒になって二人で娘を育てていきたいと思ってる。時期を見て世間にも公表したい」
「そ、そんな……急に言われても……っ」
「ごめん、でも彼女と離れたくないんだ」
水川くんはしばらく視線を彷徨わせた後、こう答えた。
「……自分一人では答えが出せません。金城チーフや社長にも相談しないと……。
他の問題もありますし、一旦持ち帰らせてください。とにかく今は撮影に向かいましょう」
「……わかった」