孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
 そっと左手の薬指に嵌めてみる。指の上で七色の光をまき散らす宝石を見て彼がぽつりと言った。

「案外、悪くない」

 建前を言わないという彼の、精いっぱいの誉め言葉だろうか。素直に『似合ってる』と口にできる人だったら、円滑に人間関係を築けたに違いない。

 秋の風に頬を撫でられながら、私は社長秘書の言葉を思い出す。

 ――あの方は、相手に心を開けば開くほど素直じゃなくなるのです。

 気がつけば、都心のビル群を縫うように傾きかけた太陽の光が注いでいる。再び走り出した車の助手席にもたれ流れる景色を眺めながら、私は胸の高鳴りを抑えることができなかった。













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