孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
 考えれば考えるほど足取りが重くなる。

 都市再生機構の集合賃貸住宅は全部で五千戸を超え、棟と棟の間に公園が設置され敷地内には小さな商店街が軒を連ねている。休日なら親子連れや買い物客でにぎわっているけれど、水曜日の夕方は意外と人影がまばらだった。

「ただいま」

 階段を上り三○五号室のドアを開けた瞬間、奥からどたどたと足音がかけてくる。

「あー! ヒィ姉! おかえり!」

 飛びついてきたのは小学六年生になる双子の片割れの妹、海(うみ)だ。

「ただいま」

 両手に持っていた荷物を框に置き、抱き着いてきた海をぎゅっと抱き締める。妹は満足そうに笑うと紙袋をひとつずつ覗き込んだ。

「わーお土産いっぱい! 特製きんぴらは?」

「つくってきたよ」

 デパートで買ったお土産より私の手料理の方を楽しみにしてくれている妹をほほえましく思いながら靴を脱ぐ。

「お母さん帰ってきた?」

「うん、さっき」

 海は紙袋をいくつか持つと、「おかあさーん」と叫びながら奥に走っていく。3LDKの家中に響く声につい笑ってしまった。

「相変わらず騒がしい」

 煩わしくもあり、懐かしくもある感覚に胸があたたかくなるのを感じながら、廊下を抜けてリビングに出た。

「ひかり、お帰り。ちょうど今からごはん作るとこ」

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