孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
 仕事帰りの母が髪をまとめた姿のまま冷蔵庫を開けている。

「おかず持ってきたから使って。きんぴらと煮物、鶏手羽元の甘辛煮も」

 紙袋をテーブルの上に置くと「助かるわぁ」と言って食卓を整え始めた。

「ひかりも食べる?」

「ううん、私は食べてきたから。太陽と音はまだ学校?」

「太陽は部活。もうすぐ帰ってくるかな。音は塾」

 高校二年生の弟、太陽は剣道部所属だ。十七歳ながら質実剛健といった感じの太陽は真面目な性格で身体が大きく身長は百八十センチもある。反対に中学三年生の妹、音は華奢な体つきで一見おとなしそうな見た目に反して活発なタイプだ。

 そしてもうひとり。

「陸、ただいま」

 リビングのソファに座って分厚い本を読んでいる双子の片割れに声を掛ける。二卵性双生児で海の兄にあたる陸は、眼鏡をかけた顔をこちらに向け「おかえり」と呟いた。おしゃべりで勉強より運動が好きな海とは正反対のタイプだ。

「陸、お皿並べるの手伝って。こら海! お菓子はご飯のあと!」

 母親の怒声を懐かしく感じながらキッチンで手を洗う。

「陸待って、今テーブル拭くから」

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