孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
「先にとか関係ないし。子どもは明日にしな。残ってるかどうか分かんないけどねー」

「ずるい!」

 個包装の焼き菓子を取れないように高く掲げる音に、海がぴょんぴょん飛びつく。

「こら音、意地悪しない!」

 台所で片づけをしている母親に窘められ、音は「はいはい」と適当に返事をする。

「配るから並べ子どもたち。ほら陸も」

「自分も子どもじゃん!」

 音と海のいつものやりとりを無視して陸は菓子を受け取るとソファに座って本を広げた。それを横目に見ながら太陽は六人掛けテーブルに窮屈そうに着いて食事をしている。

 実家に帰ってくるたびに目にする光景だ。穂高邸のひんやりした空気とも、いろどり亭に感じる自然の温かみとも違う。煩くて騒がしくて、ゆっくり自分の時間を持つこともできないのに、不思議と満ち足りる。

「姉ちゃん、見てみて、あっくんがテレビ出てる」

 テレビの前に移動した音に手招きされてソファに移動しながら、変わらない実家の空気にほっと息をついた。










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