孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
 声を掛けると、母親は文字通り「はっ」と我に返って息を吸った。

「あまりの展開に気を失うかと思ったわ」

 目の前の紅茶を一気飲みして息をつくと、改めて私を見る。射抜くような視線に心臓が不穏な音を立てた。

 母に説明した内容は仕事をクビになったことと電車で壱弥さんに出会ったことだ。その後の出来事は多少脚色をして話した。つまりは転職活動先で運命的な再会を果たし、そのまま意気投合し、同時に元カレ純也の浮気が発覚したことを機に結婚したのだと。

 俯いて小さく首を振った。

 ダメだ、どう考えても結婚が唐突すぎる。自分でも引っかかるのだから、母親ならなおさら気になるに違いない。そこをどう納得させられるか……運命とか、ありえないくらい意気投合したとかで押し切れるだろうか。月百万円で同衾する契約だなんて、口が裂けても言えない。

 しばらく見定めるような目で私を見てから、母親は小さくため息をついた。

「まあ、ね。お母さんもお父さんと勢いで結婚した部分もあるから、気持ちはわからなくもないけど。とにかく急ね」

「……うん」

 うなだれる私を見て、息をつく。

「いろいろ言いたいことはあるけど、入籍しちゃったものは仕方ないし、うん、わかった」

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