孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
「え」

「たしかに、食事に困ってるのは子どもだけとは限らない。シングルファザーだとか、仕事が忙しい片親世帯が親子で食べにくる場所になったっていい」

 席に着くなり、壱弥さんはカバンからタブレットを取り出した。

「都内の一店舗で始めるつもりだが、神谷事務所に協力してもらって子ども法律学習会を開くのもいいかもな」

 頭の中でどんどん構想が膨らんでるらしく、彼は食事中ということも忘れて夢中でタブレットを繰っている。

 その真剣な表情に思わず笑ってしまった。本当に、ワーカホリックな人だな。

 でも壱弥さんはいつも自分のためじゃなくて、誰かのために働いてる。

 小さな食品工場や後継者問題に喘ぐ会社に手を差し伸べ、今は子どもたちのために計画を練っている。それが経営のためだとしても、根本には大きな志がある。

「ああ、すまん」

 私に気づいて端末を下ろす彼に、微笑みかける。

「いえ、いいんです」

 思い出されるのは、私の実家で夕食を食べた日の彼の言葉だ。

 ――居心地、悪くなかった。

 子ども食堂の活動は会社のPRのためかもしれない。でも彼は本気で子どもたちを支援しようとしている。もしかすると、孤独だった少年時代の自分自身に手を差し伸べるつもりで。

「私にもなにかお手伝いさせてください」

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