孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
 ガラスデスクに着いていた眉目秀麗な男性が、秘書に促されてこちらに歩いてくる。ぴたりとした細身のスーツをまとったその人は、立ち上がるととても迫力があった。見上げるほどの長身で、太陽――高校のクラスで一番背が高いと言っていた百八十センチの弟――よりも背丈がありそうだ。小顔なうえに腰の位置が恐ろしく高くて、脚が長い。

 全身から発せられるオーラのようなものに圧倒されていると、「遊佐さん?」と深水さんに不思議そうに呼ばれた。

「し、失礼します」

 慌てて頭を下げ、社長というよりは芸能人としか思えない男性の正面ソファに浅く腰かける。

「あの、遊佐ひかりと申します。本日はお時間をいただきまして、ありがとうございます」

 向けられる視線の強さを意識しないように、どうにか挨拶をした。

 じわりと汗が滲む。

 気軽なランチミーティングとは? と、頭の中は疑問符でいっぱいだ。ソファ脇に立って穏やかそうに微笑みかけてくれる秘書の深水さんと異なり、社長の男性はにこりともしない。面接の進行をするでもなく質問事項を口にするでもなく、ただじっと私を見ている。

 少しでも目が合うと息ができなかった。くっきりと筋の入った二重の目は、相手を石化させるのではないかというくらい眼光に威力がある。

< 16 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop