孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
 一通りの飾り付けを終えて部屋全体を見回す。殺風景で季節感のなかったリビングに温かく優しい光が灯ったようだ。

 本人のイメージからはかけ離れているものの、壱弥さんはきっと賑やかな雰囲気が嫌いじゃない。うちの実家も居心地がいいと言っていたし、子ども食堂の構想をしているときも楽しそうだった。だから、クリスマス仕様のリビングでパーティっぽい食事を用意したら喜んでくれるかもしれない。

 海野さんの存在は不可解だけれど、彼女は私の前では存在感を消しているし、どうせだったら賑やかな方がいいから参加してもらったっていい。

 サプライズパーティといきたいところだけど、忙しい彼にはいろいろ予定があるだろうからあらかじめ伝えておいた方がいいかな。

 思いを巡らせているあいだに玄関の鍵を開ける音が聞こえた。はっとして壁掛けの時計を見ると午後九時を過ぎている。

 玄関からアーチ状のしきりを経て続いているリビングに私を見つけると、壱弥さんは足を止めた。

「おかえりなさい」

 声を掛けながら、傍らで可愛らしく佇むツリーをちらりと見る。

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