孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
 なにか言われるかな。勝手にやったことだから彼がどう反応するか想像がつかない。怒られることはないだろうけど、子どもっぽいと馬鹿にされる可能性はある。素直じゃない彼はクリスマスパーティの計画にも興味がない素振りをするだろうか。

 壱弥さんがどう反応するか楽しみにしていたら、彼はまっすぐ私を見た。

「ひかり」

「はい」

「明日からしばらく、実家に帰ってくれ」

 無表情のまま言われた言葉が、一瞬理解できなかった。

「……え?」

「身の回りのものだけ持ってあとは向こうで揃えればいい。必要があればここから送るように手配する」

 ネクタイを緩めながら淡々と言う彼に慌てて駆け寄る。

「待ってください、そんな急に……どうしてですか」

「状況が変わったからだ」

「状況って? なにが起こってるんですか」

 話の展開についていけず必死に問いかけるけれど、壱弥さんは私の目を見ないまま続ける。

「ゆっくり説明してる暇はない。とにかくおまえには実家に帰ってもらいたい」

「しばらくって……どれくらい?」

「まだわからない」

 壱弥さんがちらりと後方を見やる。視線を追って胸がこわばった。

 玄関脇に海野さんが立っている。こちらには関心がないように横向きになり、スマホに目を落としている。

< 167 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop