孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
 御園家と壱弥さんは縁が切れたとばかり思っていたけれど、今でもつながりがあるのだろうか。

「ダメです、ひかりさん」

 海野さんの声にはっとする。そうだ。会いたいなら普通に会いにくればいいのに、こんなやり方をするなんてなにかがおかしい。

「彼女を離してください」

「ええ、解放しましょう。あなたが我々と来てくれるならね」

 身構える私を見て、小柄な男性は両手を振ってみせた。

「安心してください。おとなしく付いてきてくれれば、あなたにもこの女性にも危害は加えません。さあ、どうしますか?」

 うめき声が聞こえた。海野さんを押さえつけている大柄な男が彼女の腕を踏みつけている。

「そのままお逃げになってもいいですけど、この女性の腕は折れますよ」

「やめて! わかりましたから」

 悲痛な顔をしている海野さんに微笑みかける。

「大丈夫。危害はくわえないと言ってるし。そうですよね?」

「ええ、約束します」

 小柄な男に「さあこちらへ」と誘導され、私はひとりセダンの後部座席に乗り込んだ。



 …



 連れてこられたのは都内でも有数の高級住宅街。高台のてっぺんにそびえた洋館は、レンガ造りの塀に囲まれた門を車ごと抜けて進んだ先にあった。

「こちらへどうぞ」

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