孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
「あの」

「他人には関心がないとばかり思ってたから、まさか結婚するなんてね」

「あのう」

「あんな冷徹な人間と結婚しようという人間の気も知れないけど」

 ダメだ、全然会話にならない。まるで私の声が聞こえてないみたいだ。

 そもそもこの人はどこを見ているのだろう。さっきから目が合っているはずなのに、穴倉を覗いてるみたいに手ごたえがない。にこやかに笑ってはいるけれど、瞬きの少ない瞳は瞳孔でも開いているみたいに真っ黒だ。

「見てくれだけはいいから騙される女が多いんだろうけど、所詮どろぼう猫の血が混ざったまがい物だしな」

 何気にひどいことを言っているし、目の前にいる私のことも遠回しに侮辱しているし、壱弥さんとの関係性はやっぱり良くなさそうだ。

「最近あいつ、よく眠れるようになったんだって?」

「え」

 ふいに目線が合わさってぎくりとした。ブラックホールみたいな瞳に見つめられ、居心地が悪くなる。

「寝不足だったのに、結婚してから元気だとか。君のせいだって?」

「ええと」

 質問の意図がいまいちわからず返事に窮していると、徹さんはソファを立って近づいてきた。

「なに? 夜伽でもしてるわけ? 俺にもしてみてよ」

 ふいに腕を掴まれてゾッとした。

「やめてください」

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