孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
「しかし変わったなおまえ。復讐心でこの家を陥れようとしてたんじゃなかったのか。結婚して丸くなったか」

「そんなつまらないことに時間を割けるほど、暇じゃないんでね」

 うっすら笑うと、壱弥さんは私に手を差し出す。

「帰るぞ、ひかり」

 ソファから立ち上がり、彼の手をしっかり掴む。大きな手に導かれるようにして、御園家のリビングを後にした。



 …



 壱弥さんが乗ってきたタクシーで自宅に戻る道中、彼は今回起きた事の顛末を話してくれた。

 縁を切ったつもりでいた父親から接触があったこと。二十代で起業し東証一部上場を果たした手腕を見込まれ、会社を譲渡し御園健治の後継者として父親の元で働くように打診があったこと。断り続けていたら強硬手段に出ると言われ私に警護をつけたこと。


「それじゃあ、実家に帰るように言ったのは……」

「うちにいるより実家にいたほうが安全だと思ったんだ。人目も多いしな」

 どうにも秘書らしくないと思っていたら、海野さんはセキュリティ会社から派遣されてきたボディガードだったらしい。いかにもといった屈強な男性が家に出入りすると落ち着かないから女性のガードを依頼した、と壱弥さんは告げた。

 すべては私を無駄に不安にさせないため。

< 181 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop