孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
「あの、これはいったい」

 状況の説明を欲している私に対して、秘書の深水さんは安心したように笑みを漏らした。

「よかった。遊佐ひかりさん、合格です」







「ショートスリーパー?」

 さきほどのソファに腰かけ、不機嫌そうにコーヒーカップに口をつけているホダカ・ホールディングス社長の顔を見やる。私の腰に絡んだまま一向に起きる気配のなかった彼を強引に引きはがしたのは深水さんだ。その深水さんが無言のままの上司の代わりに口を開く。

「はい。穂高社長は一日に三時間しか睡眠を取りません」

「さ、三時間⁉ それって生活に支障は出ないんですか?」

「本人は至って元気、なんの問題もない、と言い張るのですが……」

 それまで口を噤んでいた穂高社長が、カップをテーブルに置いてじとりと秘書を見やった。

「言い方に悪意を感じるぞ深水。現に俺は毎日こうして問題なく仕事をしている」

「でもそんな生活を送っていたら、いつか倒れてしまいますよ。せめて休日くらいゆっくりと眠っていただきたいです」

 脳と体を休めるためにもっとリラックスする時間を取ってほしい、と深水さんは訴える。何度も同じやり取りをしているのかもしれない。穂高社長は面倒そうにため息をついた。

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