孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
「そう言われてもな。三時間以上寝ようとしても勝手に目が覚めるんだから仕方ない」

「それで仕事をしていたら、休日の意味がありませんよ」

「時間があるのにぼうっとしてたら、それこそ生きてる意味がない」 

 典型的なワーカホリックかなと、端正な顔を見ながら思った。こんなに見目麗しくて仕事もできて乗りに乗ってるベンチャー企業の社長で、モテないはずがないのに左手の薬指に指輪は見当たらない。女性と過ごすよりも仕事の時間に価値を見出すタイプだろうか。

 ソファに座って出されたコーヒーをすすりながらふたりのやり取りを見ていたら、上司思いの社長秘書がいきなり振り返った。

「このように、弊社の穂高はリラックスの仕方が下手くそなわけです」

「深水、言い方」

 いやそうに口を歪める穂高社長に目を向けた途端、うつくしい瞳に威圧するように見返された。

「は、はあ……それでショートスリーパーであることが、私となんの関係が?」

「先日、遊佐さんのおかげで社長が電車で眠れたと窺いました」

「あ」

 深水さんの言葉で脳裏にひらめいたのは、一昨日の出来事だ。ハローワークに行った帰りの電車で、隣に座っていた男性が私に寄りかかって熟睡してしまったことがあった。

「ああ、あのときの」

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