フォーチュンクッキー
「腹、減ったな?」

 席を立ってどこか食べに行くか、もしくは帰るつもりだった。


でもチビ助の意外な言葉に、オレは足を止めてしまった。



「あの……よかったら、作りますけど…」



 オレが返事をする前に、チビ助は立ち上がると冷蔵庫を開け閉めしはじめる。

そして戸棚に行ってはガサガサと漁る。


 そんな慌しい背中をみるのは嫌いじゃない。

動き出したその姿を見ながら再び席に戻る。


「こんなことなら買い物してこればよかったぁ」

 しょぼくれたチビ助がやけにかわいくみえた。


 絶対にいってやらないけど。


「あ、テレビでもみます?」

 お鍋に水を張って火にかけると、ぱっと振り向いてきた。


「いや、いいよ。…見てる」

「ええっ?…恥ずかしいんであんま見ないでくださいよぉ」

 そういって照れを隠すように背中を向けてしまい、椅子にかかっていたエプロンをつけた。


 そんな姿をオレは教科書を片付けながら、ぼんやりと眺めていた。


 斜め後ろから見るチビ助はいつもと変わらない。

なんにだって一生懸命な瞳と、無邪気さを象徴するようなくせ毛。


 カン、カン、と規則的な包丁が働く音が部屋に響く。


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