フォーチュンクッキー
 教室に戻り、涙をためた福原先生から一人ずつ卒業証書を受け取った。


「片瀬、よくがんばったな」

 事情を知っている先生は、何度も頷いてあたしの頭を撫でてくれた。


 見ていてくれた人がいる。

それは、時に驚くほど力になることをあたしは知っている。


「…先生、ありがとうございました」

 震える声で、あたしは頭を下げた。



 たくさん、たくさん、写真を撮って。

 いっぱい、いっぱい、笑って話した。


 思い出にするにはもったいないくらい、何度も何度も。



 もう、この制服を着てここへ来る事はない。

それが胸に沁みて、なんだか視界がぼやけた。


 荷物を持ってみんなで昇降口を出る。

すると、目の前の校庭から校門にかけて、在校生や父兄たちが花道を作ってくれていた。

大半が見ず知らずの人たちなのに、このときだけは家族みたく温かく笑ってくれる。


 みんな、最後だよって……笑いながら泣いてるように見えた。



 温かい笑顔で作られた花道を潜り抜けると、ゴールの向こうである校門前には人が溢れていた。

卒業生たちが、惜しむようにその先を出れていないみたいだ。


 ちなみに、

「先に凛子さんに報告しておくよ」

 そう残して、お父さんは笑って一足先に学校を出た。


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