心の傷の痛みさえ

Future

やっと大きな仕事を一つ終えて、耳に入ってきたのが元カレの再婚話。
会社では結構な噂になっていたけれど、私はまぁ好きにすればいいんじゃない?くらいで特に何も思わなかった。
それでもネタとしては面白かったので和真に話してみたら男を見る目が無いと言われる始末。
「そんで?笙子的にはどうなのよ。」
「別に何も。まぁ後輩が泣かないといいな、レベル。」
「へぇ。本当にどうでも良くなったのな。」
「まぁね。固執するまでもないでしょ。」
「ふうん。」

最後の一杯、何飲もうかな。とメニューを開くと和真が「カミカゼ二杯。俺につけといて。」と聡さんに言う。
「え、なんで?」
「まぁ付き合えよ。」
釈然としないままに、聡さんが作ってくれた美味しいカクテルのグラスを持ち上げる。
「いただきます?」
「どーぞ。」
ふ、と笑って和真がグラスに口を付けた。
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