最強女騎士は、姉の婚約者に蕩かされる
6
「おかしいと思っていたのよ」
氷のように冷たい眼差しで、フローラは語り始めた。
「お洒落に何の関心もないあなたが、こんなアクセサリーを自分で買うだなんて。ダリオがそろえたのなら、彼のカラーにするはず。どうしてだろうと、疑問に思っていた」
関心がなかったわけではない、とナーディアは密かに思った。男社会で舐められないために、封印していただけだ。……それに、自信がなかった。お洒落なんて、自分には無縁だと。そう思わせた責任の一端は、フローラにもあったではないか。ロレンツォに言われるまで、気付かなかったけれど……。
「あなたがコドレラへ行く前、シモーナと会ったわ」
フローラは、友人の名を告げた。
「彼女に聞かれたの。あのサファイアのネックレス、どうして着けないのって。意味がわからなかったわ。そうしたら、教えてくれたの。シモーナが宝石商の所を訪れた際、偶然ロレンツォ様を見かけたって。とても素敵なサファイアのネックレスを購入なさっていたと、そう聞かされたわ」
目の前が真っ暗になる。そんなナーディアに向かって、フローラはさらに続けた。
「シモーナは、こうも言っていたわ。宝石商に、サファイアの持つ意味を聞かれて、ロレンツォ様はこう仰っていたと。『一途な想いですね。知っています』と」
フローラが、目をつり上げる。
「それを聞かされた、私の気持ちがわかる? どうして、ナーディアなんかなのよ。よりによって!」
(ナーディアなんか……? よりによって、……?)
ナーディアは、カッとなった。ずっと、フローラには申し訳ないと思ってきた。だが、今の言葉は聞き捨てならなかった。侮蔑と、見下していた女に負けたという悔しさが、そこからはにじみ出ていた。
(何より……、これは、許せない)
粉々になったネックレスを見つめて、ナーディアは決意した。フローラを見すえて、言い放つ。
「フローラ姉様。これで私も、心が決まりました。コドレラ滞在中に、ロレンツォとの間で起きたことについて、私は後悔いたしません」
氷のように冷たい眼差しで、フローラは語り始めた。
「お洒落に何の関心もないあなたが、こんなアクセサリーを自分で買うだなんて。ダリオがそろえたのなら、彼のカラーにするはず。どうしてだろうと、疑問に思っていた」
関心がなかったわけではない、とナーディアは密かに思った。男社会で舐められないために、封印していただけだ。……それに、自信がなかった。お洒落なんて、自分には無縁だと。そう思わせた責任の一端は、フローラにもあったではないか。ロレンツォに言われるまで、気付かなかったけれど……。
「あなたがコドレラへ行く前、シモーナと会ったわ」
フローラは、友人の名を告げた。
「彼女に聞かれたの。あのサファイアのネックレス、どうして着けないのって。意味がわからなかったわ。そうしたら、教えてくれたの。シモーナが宝石商の所を訪れた際、偶然ロレンツォ様を見かけたって。とても素敵なサファイアのネックレスを購入なさっていたと、そう聞かされたわ」
目の前が真っ暗になる。そんなナーディアに向かって、フローラはさらに続けた。
「シモーナは、こうも言っていたわ。宝石商に、サファイアの持つ意味を聞かれて、ロレンツォ様はこう仰っていたと。『一途な想いですね。知っています』と」
フローラが、目をつり上げる。
「それを聞かされた、私の気持ちがわかる? どうして、ナーディアなんかなのよ。よりによって!」
(ナーディアなんか……? よりによって、……?)
ナーディアは、カッとなった。ずっと、フローラには申し訳ないと思ってきた。だが、今の言葉は聞き捨てならなかった。侮蔑と、見下していた女に負けたという悔しさが、そこからはにじみ出ていた。
(何より……、これは、許せない)
粉々になったネックレスを見つめて、ナーディアは決意した。フローラを見すえて、言い放つ。
「フローラ姉様。これで私も、心が決まりました。コドレラ滞在中に、ロレンツォとの間で起きたことについて、私は後悔いたしません」