最強女騎士は、姉の婚約者に蕩かされる
7
今の今まで、ナーディアは罪悪感に苛まれてきた。たとえフローラが、ナーディアを陥れるような真似をしようとも。呪いのお守りを、託そうとも。ロレンツォに薬を飲まされて、事に及ばれたとしても。しかし、無残に破壊されたネックレスを見たとたん、罪の意識は消えたのだ。
「ナーディア、あなた……」
フローラが、すうっと青ざめる。
「まさか、本当なの? 本当に、ロレンツォ様と……」
次の瞬間、フローラは激しくナーディアの頬を打った。
「許せない! どうせ、あなたから誘ったのでしょう。よくも、そんな恥知らずな真似ができたわね!」
そこへ、鋭い声が響いた。
「フローラ、ナーディア。何を騒いでいる?」
ロベルトだった。険しい表情で、部屋の入り口に立ち尽くしている。
「聞くつもりはなかったが、お前たちが大声で言い合っているものだから……」
ロベルトは、部屋にずかずか入って来ると、ナーディアを見すえた。
「ナーディア、お前に限って、まさかとは思うが……。正直に言いなさい。お前は、人に言えぬような行いをしたのか? ロレンツォ殿と、間違いを犯したのか」
「はい。ですが……」
ナーディアは、言葉を続けることができなかった。すさまじい勢いで、ロベルトに頬を張られたからだ。あまりの衝撃に、ナーディアが言葉を失っていると、フローラはロベルトにすがった。
「お父様、ロレンツォ様を責めないでくださいませ。挙式まではと、私がかたくなに、彼に何も許さなかったから悪いのですわ。ロレンツォ様だって、若い男性ですもの。我慢を強いられているところに、ナーディアから迫られて、魔が差しただけですわ」
口づけを期待しているようなことを言っていたくせに、よく言う、とナーディアはぼんやり思った。ロベルトが、苛立たしげにため息をつく。
「いずれにしても、ロレンツォ殿には失望した。大体、最初から反対だったのだ。お前が、どうしてもと言うから……。優秀な人物だと思っていたが、やはりマクシミリアーノの血を引く男だ。信用すべきではなかった」
ナーディアは、カッと頭に血が上った。
(よくも、そのような……)
「ナーディア、あなた……」
フローラが、すうっと青ざめる。
「まさか、本当なの? 本当に、ロレンツォ様と……」
次の瞬間、フローラは激しくナーディアの頬を打った。
「許せない! どうせ、あなたから誘ったのでしょう。よくも、そんな恥知らずな真似ができたわね!」
そこへ、鋭い声が響いた。
「フローラ、ナーディア。何を騒いでいる?」
ロベルトだった。険しい表情で、部屋の入り口に立ち尽くしている。
「聞くつもりはなかったが、お前たちが大声で言い合っているものだから……」
ロベルトは、部屋にずかずか入って来ると、ナーディアを見すえた。
「ナーディア、お前に限って、まさかとは思うが……。正直に言いなさい。お前は、人に言えぬような行いをしたのか? ロレンツォ殿と、間違いを犯したのか」
「はい。ですが……」
ナーディアは、言葉を続けることができなかった。すさまじい勢いで、ロベルトに頬を張られたからだ。あまりの衝撃に、ナーディアが言葉を失っていると、フローラはロベルトにすがった。
「お父様、ロレンツォ様を責めないでくださいませ。挙式まではと、私がかたくなに、彼に何も許さなかったから悪いのですわ。ロレンツォ様だって、若い男性ですもの。我慢を強いられているところに、ナーディアから迫られて、魔が差しただけですわ」
口づけを期待しているようなことを言っていたくせに、よく言う、とナーディアはぼんやり思った。ロベルトが、苛立たしげにため息をつく。
「いずれにしても、ロレンツォ殿には失望した。大体、最初から反対だったのだ。お前が、どうしてもと言うから……。優秀な人物だと思っていたが、やはりマクシミリアーノの血を引く男だ。信用すべきではなかった」
ナーディアは、カッと頭に血が上った。
(よくも、そのような……)