最強女騎士は、姉の婚約者に蕩かされる
9
目を開けると、高い天井が目に飛びこんで来た。ベッドに寝かされているようだが、背中が痛くて体が動かせない。
(ここ、どこだ……?)
どうにか辻馬車の所までたどり着いたのは覚えているが、そこからの記憶がない。一瞬、モンテッラ邸に連れ戻されたかと思ったが、この天井のデザインには覚えがなかった。とはいえ、どこかで目にしたような気もする。
かろうじて動かせる首を回して、室内を見回せば、趣ある調度品が目に飛びこんで来た。壁際に置かれたソファには、一人の男が腰かけて、本を読んでいる。ナーディアは、思わず大声を上げていた。
「ダリオ!?」
「気が付いたか」
ダリオは本を閉じると、ベッドの傍までやって来た。ようやく、ナーディアは合点した。ここは、フェリーニ邸だ。道理で、室内に見覚えがあるはずだった。
「私……、どうしてここに?」
「君、辻馬車に乗ろうとして倒れたんだよ。僕の名前が書かれたメモを持っていたから、てっきりフェリーニ家の関係者かと気を利かせて、御者がここまで連れて来たんだ」
居酒屋でラウラからもらったメモか、とナーディアは思い出した。そういえば、上着のポケットに入れていたのだった。
「血まみれだったから、驚いたけれど……。取りあえず、すぐに医者を呼んだ。背中の傷が開いたようだな。すぐに処置したから、問題はないそうだ」
ナーディアは、ほっと胸を撫で下ろした。
「ダリオ、ありがとう。迷惑をかけたわね」
そこまで言って、ナーディアはハッとした。
「そういえば、コルラード兄様を引き取ったのですって? 一体どうして?」
「恐らくは、君と同じ理由だな」
ダリオは、静かに答えた。
「あのメモを持っていたということは、君もあの居酒屋へ行ったのだろう。コルラードを連れ戻そうと考えたのじゃないか? ロレンツォの正体に気が付いたから」
ナーディアは、ドキリとした。ナーディアの目を見つめて、ダリオが告げる。
「ロレンツォの正体が、ジャンニ・ディ・バローネであることなら、僕はもう知っている。君もだろう、ナーディア?」
(ここ、どこだ……?)
どうにか辻馬車の所までたどり着いたのは覚えているが、そこからの記憶がない。一瞬、モンテッラ邸に連れ戻されたかと思ったが、この天井のデザインには覚えがなかった。とはいえ、どこかで目にしたような気もする。
かろうじて動かせる首を回して、室内を見回せば、趣ある調度品が目に飛びこんで来た。壁際に置かれたソファには、一人の男が腰かけて、本を読んでいる。ナーディアは、思わず大声を上げていた。
「ダリオ!?」
「気が付いたか」
ダリオは本を閉じると、ベッドの傍までやって来た。ようやく、ナーディアは合点した。ここは、フェリーニ邸だ。道理で、室内に見覚えがあるはずだった。
「私……、どうしてここに?」
「君、辻馬車に乗ろうとして倒れたんだよ。僕の名前が書かれたメモを持っていたから、てっきりフェリーニ家の関係者かと気を利かせて、御者がここまで連れて来たんだ」
居酒屋でラウラからもらったメモか、とナーディアは思い出した。そういえば、上着のポケットに入れていたのだった。
「血まみれだったから、驚いたけれど……。取りあえず、すぐに医者を呼んだ。背中の傷が開いたようだな。すぐに処置したから、問題はないそうだ」
ナーディアは、ほっと胸を撫で下ろした。
「ダリオ、ありがとう。迷惑をかけたわね」
そこまで言って、ナーディアはハッとした。
「そういえば、コルラード兄様を引き取ったのですって? 一体どうして?」
「恐らくは、君と同じ理由だな」
ダリオは、静かに答えた。
「あのメモを持っていたということは、君もあの居酒屋へ行ったのだろう。コルラードを連れ戻そうと考えたのじゃないか? ロレンツォの正体に気が付いたから」
ナーディアは、ドキリとした。ナーディアの目を見つめて、ダリオが告げる。
「ロレンツォの正体が、ジャンニ・ディ・バローネであることなら、僕はもう知っている。君もだろう、ナーディア?」