最強女騎士は、姉の婚約者に蕩かされる
5
(何これ……?)
瞬時に頭をよぎったのは、ロレンツォとのことが知れたか、ということだった。だが、人殺しとはどういうことだ。呆然と立ち尽くしていると、不意に背後から肩をつかまれた。反対側からも、腕を取られる。そのままナーディアは、すさまじい力で廊下の壁に押し付けられた。
「何すっ……」
仕掛けたのは、同僚の男性騎士三人だった。怒りに燃えた目で、ナーディアをにらみつけている。押しのけようとするが、さすがに大の男三人相手では、容易にはいかなかった。
「よくものうのうと、寮へ戻って来れたな!」
「そりゃ、男がいるからだろ」
一人が、せせら笑う。
「見損なったぜ。姉上の婚約者を寝取るとか、最低だろ!」
やはりあのことが知れたか、とナーディアは目の前が暗くなった。王宮近衛騎士団に、フローラのファンは多い。怒るのは当然だろう。その時、一人が口走った。
「フローラ嬢を自殺未遂に追い込んで、満足かよ!」
「自殺未遂!?」
ナーディアは、ぎょっとした。未遂と言うからには、一命は取り留めたのだろうが。詳しく聞きたいが、誰もまともに答えてくれそうになかった。いつの間にか、周囲には他の同僚らも集まってきたが、誰もナーディアを助ける気配はない。怒りと蔑みに満ちた眼差しで、こちらをにらみつけている。
(ダリオが私を匿おうとしたのは、この状況を予想したから……?)
一方、ナーディアを押さえつけている男たちは、次第にヒートアップしていった。
「男みたいな風体のくせに、とんだ淫売だな」
「オルランド殿下にも、そうやって取り入ったんじゃねえのか」
いつもナーディアの実力を認めている彼らの口から、そんな台詞が飛び出すなんて、ナーディアは信じられなかった。それだけ、彼らの怒りが尋常ではないということか。
その時、廊下の向こうからマリーノがやって来た。一縷の望みをかけたナーディアだったが、その表情を見て絶望した。マリーノの眼差しは、氷のようだった。
瞬時に頭をよぎったのは、ロレンツォとのことが知れたか、ということだった。だが、人殺しとはどういうことだ。呆然と立ち尽くしていると、不意に背後から肩をつかまれた。反対側からも、腕を取られる。そのままナーディアは、すさまじい力で廊下の壁に押し付けられた。
「何すっ……」
仕掛けたのは、同僚の男性騎士三人だった。怒りに燃えた目で、ナーディアをにらみつけている。押しのけようとするが、さすがに大の男三人相手では、容易にはいかなかった。
「よくものうのうと、寮へ戻って来れたな!」
「そりゃ、男がいるからだろ」
一人が、せせら笑う。
「見損なったぜ。姉上の婚約者を寝取るとか、最低だろ!」
やはりあのことが知れたか、とナーディアは目の前が暗くなった。王宮近衛騎士団に、フローラのファンは多い。怒るのは当然だろう。その時、一人が口走った。
「フローラ嬢を自殺未遂に追い込んで、満足かよ!」
「自殺未遂!?」
ナーディアは、ぎょっとした。未遂と言うからには、一命は取り留めたのだろうが。詳しく聞きたいが、誰もまともに答えてくれそうになかった。いつの間にか、周囲には他の同僚らも集まってきたが、誰もナーディアを助ける気配はない。怒りと蔑みに満ちた眼差しで、こちらをにらみつけている。
(ダリオが私を匿おうとしたのは、この状況を予想したから……?)
一方、ナーディアを押さえつけている男たちは、次第にヒートアップしていった。
「男みたいな風体のくせに、とんだ淫売だな」
「オルランド殿下にも、そうやって取り入ったんじゃねえのか」
いつもナーディアの実力を認めている彼らの口から、そんな台詞が飛び出すなんて、ナーディアは信じられなかった。それだけ、彼らの怒りが尋常ではないということか。
その時、廊下の向こうからマリーノがやって来た。一縷の望みをかけたナーディアだったが、その表情を見て絶望した。マリーノの眼差しは、氷のようだった。