最強女騎士は、姉の婚約者に蕩かされる
3
オルランドを取り巻いていた人々は、ナーディアのためにさっと道を空けた。ナーディアは、真っ直ぐオルランドの元へ突き進むと、馬から降りて敬礼した。
「ナーディア・ディ・モンテッラ、ただ今参上いたしました……。で、なぜ言ってくださらなかったんです?」
ロレンツォもだ、とナーディアは恨めしげに二人の顔を見比べた。オルランドが答える。
「お前さんは、怪我人だ。そして、最大の理由は……。お前は、彼を相手に戦えるか?」
王宮前には、すでにザウリ率いる王立騎士団全員が集結している。だがそこへ、馬を駆って駆け付ける、一人の男がいた。……ロベルトだった。
「モンテッラ様!?」
「『猛将』復活か!?」
王立騎士団員らがざわめく。ロベルトは、ザウリに向かって告げた。
「引退した身でありながら、差し出がましいのは承知の上。だが、このロベルト・ディ・モンテッラは、ラクサンド王室に生涯の忠誠をお誓い申し上げた。何があろうとも、国王陛下をお守りする所存だ。微力ながら、加勢させていただきたい!」
わあっと、騎士団内から歓声が上がる。退いてなお、ロベルトが慕われているのは明白だった。その盛り上がり様は、ザウリが出陣を命じた時とは、比べものにならなかった。
オルランドが、チラリとナーディアを見る。ナーディアは、再び馬にまたがると、キッと彼を見返した。
「殿下は、私を馬鹿になさっておいでですか? 洗濯板といくら言われようとも構いませんが、これは許せませんぞ。殿下には、ずっとお仕えさせていただくと申したのをお忘れですか? オルランド殿下のためであれば、私は父をも斬る所存です!」
「よく言った」
オルランドは、にやりとすると、周囲を見回して宣言した。
「出撃だ!」
「ナーディア・ディ・モンテッラ、ただ今参上いたしました……。で、なぜ言ってくださらなかったんです?」
ロレンツォもだ、とナーディアは恨めしげに二人の顔を見比べた。オルランドが答える。
「お前さんは、怪我人だ。そして、最大の理由は……。お前は、彼を相手に戦えるか?」
王宮前には、すでにザウリ率いる王立騎士団全員が集結している。だがそこへ、馬を駆って駆け付ける、一人の男がいた。……ロベルトだった。
「モンテッラ様!?」
「『猛将』復活か!?」
王立騎士団員らがざわめく。ロベルトは、ザウリに向かって告げた。
「引退した身でありながら、差し出がましいのは承知の上。だが、このロベルト・ディ・モンテッラは、ラクサンド王室に生涯の忠誠をお誓い申し上げた。何があろうとも、国王陛下をお守りする所存だ。微力ながら、加勢させていただきたい!」
わあっと、騎士団内から歓声が上がる。退いてなお、ロベルトが慕われているのは明白だった。その盛り上がり様は、ザウリが出陣を命じた時とは、比べものにならなかった。
オルランドが、チラリとナーディアを見る。ナーディアは、再び馬にまたがると、キッと彼を見返した。
「殿下は、私を馬鹿になさっておいでですか? 洗濯板といくら言われようとも構いませんが、これは許せませんぞ。殿下には、ずっとお仕えさせていただくと申したのをお忘れですか? オルランド殿下のためであれば、私は父をも斬る所存です!」
「よく言った」
オルランドは、にやりとすると、周囲を見回して宣言した。
「出撃だ!」