最強女騎士は、姉の婚約者に蕩かされる
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ナーディアの父、ロベルト・ディ・モンテッラは、ラクサンド一の猛将として知られ、かつては王立騎士団長も務めていた。彼の血をそっくり受け継いだらしきナーディアは、幼い頃からあらゆる武芸において、ずば抜けた才能を発揮した。
そんなナーディアは、普通なら十八歳で卒業する士官学校を、飛び級で十六の年に卒業した。その後、入団した王立騎士団でも、めざましく活躍した。だから、彼女がオルランドの専属護衛を務めることに、誰も異論は唱えなかったのだが……。
唯一懸念を口にしたのが、当時まだ存命だった、オルランドの母だった。現国王・マルコ四世の正妃である。彼女は、息子とナーディアの間に間違いが起きることを案じたのだ。
『ひとたび男を知った女性は、否が応でも色気がにじみ出るものです。生娘ならば、少しはマシというもの』
そんな考えから、王妃はくだんの条件を提示したのだった。
とはいえ、彼女の懸念は杞憂に終わった。オルランドは大の巨乳好きであり、目をこらさなければわからないほどの膨らみしか持たないナーディアに、手を出すことは無かったのである。――もっとも、手を出そうものなら、ナーディアに半殺しの目に遭わされることを察知していたからかもしれないが。
「ナーディア……」
「オルランド様、ご心配は無用です!」
気遣わしげなオルランドの表情に、ナーディアは慌てた。
「恋愛したい男性なんて、いませんから。私、私より強い男性でないと、興味を持てないんです」
「そりゃ、相手は見つからねえな」
オルランドは、ガクッと肩を落とした。
「ラクサンド最強騎士だろうが、お前は。お前に勝てる男なんて、いるわけねえ」
「……」
一瞬、ナーディアは沈黙した。幸か不幸か、それはオルランドに見とがめられた。
「何だ? いるってか?」
オルランドが、顔をのぞき込んでくる。ナーディアは、ぽつりと呟いていた。
「……一人だけ、いました。私を負かした男の子が」
馬鹿正直に打ち明ける必要がないのは、わかっていた。でも、真剣に自分を案じてくれている様子のオルランドには、話しておきたくなったのだ……。
そんなナーディアは、普通なら十八歳で卒業する士官学校を、飛び級で十六の年に卒業した。その後、入団した王立騎士団でも、めざましく活躍した。だから、彼女がオルランドの専属護衛を務めることに、誰も異論は唱えなかったのだが……。
唯一懸念を口にしたのが、当時まだ存命だった、オルランドの母だった。現国王・マルコ四世の正妃である。彼女は、息子とナーディアの間に間違いが起きることを案じたのだ。
『ひとたび男を知った女性は、否が応でも色気がにじみ出るものです。生娘ならば、少しはマシというもの』
そんな考えから、王妃はくだんの条件を提示したのだった。
とはいえ、彼女の懸念は杞憂に終わった。オルランドは大の巨乳好きであり、目をこらさなければわからないほどの膨らみしか持たないナーディアに、手を出すことは無かったのである。――もっとも、手を出そうものなら、ナーディアに半殺しの目に遭わされることを察知していたからかもしれないが。
「ナーディア……」
「オルランド様、ご心配は無用です!」
気遣わしげなオルランドの表情に、ナーディアは慌てた。
「恋愛したい男性なんて、いませんから。私、私より強い男性でないと、興味を持てないんです」
「そりゃ、相手は見つからねえな」
オルランドは、ガクッと肩を落とした。
「ラクサンド最強騎士だろうが、お前は。お前に勝てる男なんて、いるわけねえ」
「……」
一瞬、ナーディアは沈黙した。幸か不幸か、それはオルランドに見とがめられた。
「何だ? いるってか?」
オルランドが、顔をのぞき込んでくる。ナーディアは、ぽつりと呟いていた。
「……一人だけ、いました。私を負かした男の子が」
馬鹿正直に打ち明ける必要がないのは、わかっていた。でも、真剣に自分を案じてくれている様子のオルランドには、話しておきたくなったのだ……。