最強女騎士は、姉の婚約者に蕩かされる
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「これは、ダリオ様」
「ちょうど、婚約披露パーティーの話をしていたんですよ。お招きありがとうございます」
同僚らは、ダリオの元へ駆け寄ると、口々に礼を述べた。
「とんでもない。大事な弟の、仕事仲間の方々ですからね。私も是非、親交を深めたかったんです。良い機会が得られました」
ダリオが鷹揚に微笑む。やはりお前の仕業か、とナーディアは毒づいた。呪詛の念を込めてにらみつけていると、ダリオはふとナーディアの顔を見た。
「そうそう、ナーディア。昨日話し合っていた件だけれど……」
(馬鹿野郎。ドレスのことをバラすな!!)
ナーディアは、大慌てでダリオの言葉をさえぎった。
「あっ、パーティーの段取りのことね!? そうでしょう?」
同僚らは、それを聞いて顔を見合わせ合った。
「両家で、お打ち合わせでもあるのかな」
「邪魔をしては、申し訳ないですね」
気を利かせたらしき彼らは、幸いにも、ダリオに挨拶してその場を去って行った。二人きりになると、ナーディアはダリオに詰め寄った。
「どういうつもり!? 私を、見世物にする気?」
「……? 何のこと?」
ダリオがきょとんとする。ナーディアは、ますます苛立つのを感じた。
「とぼけないで! ドレスのことに決まってるでしょ。よりによって、騎士団の皆まで招くなんて……」
「……ああ」
ダリオは、合点したような顔をした。
「見世物……という表現はどうかと思うけれど。見せつけたいな、と思ったのは事実だよ」
「この性悪め……」
ナーディアは、キッとダリオを見すえて言い放った。
「やっぱり、昨日の話はナシにして。コルラード兄様のことなら、私が何とかするから。今夜、また外出許可を取って、兄様を説得しに行くわ」
「いや、それは無理だね」
ダリオはなぜか、自信たっぷりに言い切った。
「モンテッラの領内で、橋の崩落事故があったんだよ。ロベルト様は体調が思わしくないので、コルラードが代わりに対応に行くことになった。今日から数日間、彼は王都を留守にする」
「ちょうど、婚約披露パーティーの話をしていたんですよ。お招きありがとうございます」
同僚らは、ダリオの元へ駆け寄ると、口々に礼を述べた。
「とんでもない。大事な弟の、仕事仲間の方々ですからね。私も是非、親交を深めたかったんです。良い機会が得られました」
ダリオが鷹揚に微笑む。やはりお前の仕業か、とナーディアは毒づいた。呪詛の念を込めてにらみつけていると、ダリオはふとナーディアの顔を見た。
「そうそう、ナーディア。昨日話し合っていた件だけれど……」
(馬鹿野郎。ドレスのことをバラすな!!)
ナーディアは、大慌てでダリオの言葉をさえぎった。
「あっ、パーティーの段取りのことね!? そうでしょう?」
同僚らは、それを聞いて顔を見合わせ合った。
「両家で、お打ち合わせでもあるのかな」
「邪魔をしては、申し訳ないですね」
気を利かせたらしき彼らは、幸いにも、ダリオに挨拶してその場を去って行った。二人きりになると、ナーディアはダリオに詰め寄った。
「どういうつもり!? 私を、見世物にする気?」
「……? 何のこと?」
ダリオがきょとんとする。ナーディアは、ますます苛立つのを感じた。
「とぼけないで! ドレスのことに決まってるでしょ。よりによって、騎士団の皆まで招くなんて……」
「……ああ」
ダリオは、合点したような顔をした。
「見世物……という表現はどうかと思うけれど。見せつけたいな、と思ったのは事実だよ」
「この性悪め……」
ナーディアは、キッとダリオを見すえて言い放った。
「やっぱり、昨日の話はナシにして。コルラード兄様のことなら、私が何とかするから。今夜、また外出許可を取って、兄様を説得しに行くわ」
「いや、それは無理だね」
ダリオはなぜか、自信たっぷりに言い切った。
「モンテッラの領内で、橋の崩落事故があったんだよ。ロベルト様は体調が思わしくないので、コルラードが代わりに対応に行くことになった。今日から数日間、彼は王都を留守にする」