最強女騎士は、姉の婚約者に蕩かされる
13
「モンテッラ様。お気持ちはお察ししますが、どうぞ今後ともご贔屓になさってくださいませ。他にも、いい娘はおります」
ナーディアの打ちひしがれた表情を見て、責任者らしき男性は、ますます誤解したようだった。
「すぐに、とはいかないかもしれませんが……。思えばモンテッラ様は、一年もの間、アガタを贔屓になさってくださいましたものねえ」
一年もかい、とナーディアはわめきたくなった。娼婦にかまけている暇があるなら、しっかり仕事をして欲しかった。それに、よくそんなに金が続いたな、という思いも脳裏をかすめる。
「これほどまでにモンテッラ様に想っていただいて、アガタも幸せ者でございます。こんなに長期間にわたり、彼女を指名くださったのは、モンテッラ様だけですから。あのライバルだって、それほど続きませんでしたからねえ」
「ライバル?」
ナーディアは、ふと聞きとがめていた。男性が、怪訝そうな顔をする。
「お忘れですか? 一ヶ月ほど前、アガタを熱心に指名するお客様がいらっしゃって、モンテッラ様はお怒りだったではないですか。来店なさっても、その方が先に彼女を指名してしまっていることが多い、と」
「あ……、ああ。そんなこともあったな」
ナーディアは、適当に調子を合わせた。得意客を逃すまいと考えたのか、男性は媚びるような微笑みを浮かべた。
「でもアガタは、その方よりモンテッラ様を慕っておりましたよ。常々申しておりましたから。『私はグリーンの瞳より、ブルーの瞳が好きなの』と」
「その男は、グリーンの瞳をしていたのか?」
ナーディアは、思わず聞き返していた。男性が、しまったという顔をする。
「ここだけの話でございますよ。珍しい、緑色の目をした方でした。……そうですな、まるでエメラルドのような」
ナーディアの打ちひしがれた表情を見て、責任者らしき男性は、ますます誤解したようだった。
「すぐに、とはいかないかもしれませんが……。思えばモンテッラ様は、一年もの間、アガタを贔屓になさってくださいましたものねえ」
一年もかい、とナーディアはわめきたくなった。娼婦にかまけている暇があるなら、しっかり仕事をして欲しかった。それに、よくそんなに金が続いたな、という思いも脳裏をかすめる。
「これほどまでにモンテッラ様に想っていただいて、アガタも幸せ者でございます。こんなに長期間にわたり、彼女を指名くださったのは、モンテッラ様だけですから。あのライバルだって、それほど続きませんでしたからねえ」
「ライバル?」
ナーディアは、ふと聞きとがめていた。男性が、怪訝そうな顔をする。
「お忘れですか? 一ヶ月ほど前、アガタを熱心に指名するお客様がいらっしゃって、モンテッラ様はお怒りだったではないですか。来店なさっても、その方が先に彼女を指名してしまっていることが多い、と」
「あ……、ああ。そんなこともあったな」
ナーディアは、適当に調子を合わせた。得意客を逃すまいと考えたのか、男性は媚びるような微笑みを浮かべた。
「でもアガタは、その方よりモンテッラ様を慕っておりましたよ。常々申しておりましたから。『私はグリーンの瞳より、ブルーの瞳が好きなの』と」
「その男は、グリーンの瞳をしていたのか?」
ナーディアは、思わず聞き返していた。男性が、しまったという顔をする。
「ここだけの話でございますよ。珍しい、緑色の目をした方でした。……そうですな、まるでエメラルドのような」