最強女騎士は、姉の婚約者に蕩かされる
7
当日ナーディアは、借りたコルラードの服を着て、意気揚々と大会に出場した。元々髪も短く、真っ黒に日焼けした彼女は、どこからどう見ても男の子だった。誰からも疑われることなく、ナーディアは試合をこなし、なおかつ順調に勝ち上がった。予想外の快進撃に、ナーディアは甘い期待を抱いた。
(これ、優勝を狙えるんじゃ……!?)
優勝すれば、国王陛下から表彰していただけるのだ。コルラードとして出場しているのだから、そんな状況になれば、ややこしいことになるのは目に見えている。だが、五歳のナーディアにはそこまで知恵が回らず、全力で試合に挑み続けた。そしてついに、決勝戦まで漕ぎ着けた。
決勝戦の相手は、ナーディアより二、三歳年上の少年だった。彼は、亜麻色の艶やかな髪と、澄んだエメラルドグリーンの瞳……、そして、ずば抜けた強さを兼ね備えていた。それまでの対戦相手とは、桁違いだった。
それでも中盤まで、二人は互角だった。だが、途中でナーディアは気付いた。相手が、どうやら本気を出していないことに。年下だと思って、手加減しているのだろうか。
『本気でかかってこい!』
思わず、ナーディアは叫んでいた。同時に、渾身の力を込めて斬りかかる。剣の切っ先は、少年の右肩をかすめた。
一瞬、少年が怯むのがわかった。だがそれは束の間で、彼はすかさず反撃に移った。それまでとは打って変わって、力強い攻撃を繰り出し始める。
(やっぱり、今までは力を出し切っていなかった……?)
だが、ナーディアに冷静に判断している余裕はなかった。少年が、どんどんナーディアを追い詰めていったからだ。かわすだけで、精一杯だった。こちらから仕掛けるタイミングが、全くつかめない。
負けたくない、と切に願う。だがそんな時、少年は一瞬の隙を突いて、ナーディアの右腕を鋭く突いた。不覚にも、柄が手からこぼれ落ちていく。ナーディアの敗北が決定した瞬間だった。
(これ、優勝を狙えるんじゃ……!?)
優勝すれば、国王陛下から表彰していただけるのだ。コルラードとして出場しているのだから、そんな状況になれば、ややこしいことになるのは目に見えている。だが、五歳のナーディアにはそこまで知恵が回らず、全力で試合に挑み続けた。そしてついに、決勝戦まで漕ぎ着けた。
決勝戦の相手は、ナーディアより二、三歳年上の少年だった。彼は、亜麻色の艶やかな髪と、澄んだエメラルドグリーンの瞳……、そして、ずば抜けた強さを兼ね備えていた。それまでの対戦相手とは、桁違いだった。
それでも中盤まで、二人は互角だった。だが、途中でナーディアは気付いた。相手が、どうやら本気を出していないことに。年下だと思って、手加減しているのだろうか。
『本気でかかってこい!』
思わず、ナーディアは叫んでいた。同時に、渾身の力を込めて斬りかかる。剣の切っ先は、少年の右肩をかすめた。
一瞬、少年が怯むのがわかった。だがそれは束の間で、彼はすかさず反撃に移った。それまでとは打って変わって、力強い攻撃を繰り出し始める。
(やっぱり、今までは力を出し切っていなかった……?)
だが、ナーディアに冷静に判断している余裕はなかった。少年が、どんどんナーディアを追い詰めていったからだ。かわすだけで、精一杯だった。こちらから仕掛けるタイミングが、全くつかめない。
負けたくない、と切に願う。だがそんな時、少年は一瞬の隙を突いて、ナーディアの右腕を鋭く突いた。不覚にも、柄が手からこぼれ落ちていく。ナーディアの敗北が決定した瞬間だった。