最強女騎士は、姉の婚約者に蕩かされる
15
にわかには、信じられなかった。ダリオはなぜ、ザウリにそんな話をするのか。ダリオからは、結婚の『け』の字もほのめかされたこともなければ、好きと告げられたこともないのに。仮に、親同士の間でそんな話が持ち上がったのなら、ロベルトはすぐに教えてくれたはずだ。
(これはもしや、奴の嫌がらせの延長か……?)
「マリーノ、違うんだ。ええと、何から説明していいのかわからないけど……」
「説明なんて、必要ない」
マリーノは、ナーディアの言葉を冷たく遮った。
「俺はな。世間の女みたいに、恋やファッションにうつつを抜かすことなく、ストイックに騎士の道を突き進むお前が好きだったんだ。この前告白した後、気まずい雰囲気になって、実は反省した。お前が恋をしない道を選ぶと言うなら、それを尊重して友達のままでいようかとも思った……。でも」
マリーノは、唇を歪めた。自らを嘲っているのか、ナーディアを嘲っているのかはわからなかった。
「ちゃっかり、侯爵夫人になる道を選ぶってか? 見損なったぜ」
「だから、違うと……」
「それとも、アレか?」
マリーノが、ナーディアをにらみつける。その瞳に浮かんでいたのは、明らかに軽蔑だった。
「弟がゲットできなかったから、兄貴で手を打とうってか!」
「マリーノ……。お前、いい加減にしろ!」
張り倒してやろうと、ナーディアはマリーノの方へ向かって駆け出した。だが、足に激痛を覚え、立ちすくんでしまう。マリーノは、それを見て一瞬心配そうな顔を見せたものの、黙って室内へ戻って行った。
(これはもしや、奴の嫌がらせの延長か……?)
「マリーノ、違うんだ。ええと、何から説明していいのかわからないけど……」
「説明なんて、必要ない」
マリーノは、ナーディアの言葉を冷たく遮った。
「俺はな。世間の女みたいに、恋やファッションにうつつを抜かすことなく、ストイックに騎士の道を突き進むお前が好きだったんだ。この前告白した後、気まずい雰囲気になって、実は反省した。お前が恋をしない道を選ぶと言うなら、それを尊重して友達のままでいようかとも思った……。でも」
マリーノは、唇を歪めた。自らを嘲っているのか、ナーディアを嘲っているのかはわからなかった。
「ちゃっかり、侯爵夫人になる道を選ぶってか? 見損なったぜ」
「だから、違うと……」
「それとも、アレか?」
マリーノが、ナーディアをにらみつける。その瞳に浮かんでいたのは、明らかに軽蔑だった。
「弟がゲットできなかったから、兄貴で手を打とうってか!」
「マリーノ……。お前、いい加減にしろ!」
張り倒してやろうと、ナーディアはマリーノの方へ向かって駆け出した。だが、足に激痛を覚え、立ちすくんでしまう。マリーノは、それを見て一瞬心配そうな顔を見せたものの、黙って室内へ戻って行った。