真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「うちらの学校の事件って、テレビのニュースでは見ない日ないもんね」
と、立川さん。
「まぁ、それだけ大事件だから」
と、息吹ちゃんは俯いた。
「橋谷先生と竹中先輩の事件って、犯人はわかってるの?文芸部のふたりは」
何気なく聞いてきた矢戸田さんに、私達は顔を見合わせてから、
「残念ながら」
と、ふたり同時に答えた。
「まぁ、よく頑張ってるよ!ふたりとも」
と、矢戸田さんはソフトクリームが乗っているアイスカフェラテを飲む。
息吹ちゃんもアイスココアを飲みながら、
「そうでしょうか?」
と、自信の無い声で言った。
「そんなふたりにさ、ちょっとした情報があるんだ」
矢戸田さんは急に小声になって、話し出す。
「市川さんのことなんだけど……」
「?」
矢戸田さんが「ちょっと、ちょっと」と手招きして、私達は顔を寄せる。
「前にあなた達とこうして、ここでお茶したでしょう?第一発見者だから聞き込みってことで」
「はい」
「その時、市川さんを見たでしょう?」