真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

「多分、橋谷先生と市川さんの不倫関係のことで、市川さんにとって都合の悪いところにバラされそうになったんじゃないですか?」

「……そんなの、デタラメだから。別に不倫なんかしてないし」



市川さんは腕組みをして、俯く。



「本当のことじゃないですか?美術部の間では周知の事実だ、と言っていた人もいます」

「は?誰だよ、そいつ!連れて来いよ!」

「いいえ。誰かは言いません。それに、誰だっていいんです。今はそんなこと関係ない」



息吹ちゃんはゆっくりと息を吐いた。



「市川さん、芸能界に復帰したいんですよね?」




市川さんの眉がピクッと動く。



「何、それこそ今、関係なくない?放っておいてよ、あんたにとやかく言われたくない」



息吹ちゃんは、
「関係はあるんです」
と、静かに言った。






「それが、二つの殺人事件の殺害動機だから」







「……は?な、何言ってんの」
と、市川さん。

声が震えている。

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