真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
少女漫画から顔を上げて。
「調査終わった?」
と、寧々様は聞いてきた。
二重のくるっとした目が、五月の夕日色に輝いている。
「うーん、終わっては、ない」
と言いつつ、息吹ちゃんは部室の中央にある、テーブル席に座った。
「まあ、そんなにサクッとは見つからないか。アリバイも、第一発見者も」
と、寧々様はソファーのそばのサイドテーブルに置いた紅茶のカップに手を伸ばす。
「時間がかかるかもだけど、頑張りな」
「うん。ありがとう」
寧々様が鞄の中からスナック菓子を取り出した。
パリパリと寧々様が食べているのを見ていると、口の中で唾液が生産される。
「寧々様〜、我らにもお恵みをー!」
と、冗談混じりにソファーに寄って行くと、
「許す。来るが良い」
なんて、寧々様も冗談に付き合ってくれる。
寧々様がスナック菓子の袋を私に差し出してくれる。
「息吹も食べな」
と、寧々様。
息吹ちゃんもてくてくと近寄って来て、
「ありがたや、ありがたや〜」
と、大袈裟に手を合わせる。