真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「最初は体育館から聞こえたと思ったんだ」
と、矢戸田さん。
「バスケ部とかバレー部が練習で出した音なのかな?って。でも立川が違うんじゃない?って言って」
「そう。大きな音だったから、ボールの音って思えなくて」
矢戸田さんが続ける。
「それで、体育館には一応来たんだけど、朝練が無かったらしくて鍵がかかってて。でも、こっちのほうから聞こえたよね?ってふたりで話して進んでいくと、裏庭に来たの」
息吹ちゃんが、
「そこで見つけたんですね」
と、言う。
矢戸田さんと立川さんは頷く。
「はじめは裏庭の入り口、草むらの端のほうから立って、裏庭を眺めたんだ。草むらの中心部分で、誰かが寝ている姿が見えて。私が話しかけた」
と、立川さん。
「大丈夫ですか?って。でも返事はなくて……。近づいたら、頭から血が出てた。本当に驚いて。矢戸田もそれを見て悲鳴を上げて」
「私、その時、死んでるっ!って思っちゃったの」
矢戸田さんは思い出したのか、自分の両手で、両腕をさする。