真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

「どうして死んでるって思ったんですか?」



息吹ちゃんが質問する。

それには立川さんが答えた。



「頭から血を流してて、倒れている人を見たらさ、多分混乱するよ。冷静に判断なんか出来ない。それに……」

「それに?」

「……足が、曲がってた。すごく変な方向に。ものすごく怖かった」



息吹ちゃんは「……曲がってた」と、繰り返した。



「それに気づいて、私も悲鳴を上げてしまったの。この人は死んでいるって、思い込んでしまった。……まだ生きてたみたいだけどね。搬送先の病院で亡くなったらしいもんね?」



立川さんはメニューを手にして、
「矢戸田、なんか温かいもの頼みな。あんた、顔色悪いよ」
と、矢戸田さんに渡す。



「文芸部のふたりも何か頼んだら?私も飲み物、頼みたいし」

「あ、そうします」
と、私はメニューを受け取り、息吹ちゃんもそれを隣からのぞく。



ひとまず話は中断したけれど、注文した飲み物を手にすると、
「話せますか?」
と、息吹ちゃんは矢戸田さんに聞いた。

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