真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
私達は頷いて、続きを待つ。
「あの時は特に何も思わなかった。サッカー部も朝練なんだなー、くらいの気持ちだった。でも、あの日のサッカー部の朝練は六時半からだって、後で知ったんだ」
「……五十分くらい余裕があるじゃん」
と、矢戸田さんが言う。
立川さんは頷き、
「滝口はいつも遅刻はしないけど、そんなに早く来るタイプでもないんだ。……あ、私、あいつと同中なんだ。何なら小学校も幼稚園も一緒」
と、説明してくれた。
「でもあの日は、あのバスに乗ってた。そんなに早く来て、滝口のやつ、何をしてたのかな?」
「確かに滝口くんでしたか?」
と、息吹ちゃんは尋ねる。
立川さんは、
「あんなイケメン、なかなかいないもん。間違いないと思う。……別に私はあいつに興味はないけれど、でも見間違えたりはしないよ」
と、答えた。
「そうですか……、確かに。滝口くんは目立ちますよね」
と、息吹ちゃんも納得している。