真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

「デートしてたんだね」



立川さんが呟く。

私と息吹ちゃんは、
「デート……!」
と顔を赤らめてしまう。



「何?どうしたの?」

「いえ、あの、我々には縁遠いワード過ぎて、そのキラキラした世界を想像して照れただけです」



立川さんに説明した息吹ちゃんに続いて私も、
「同じく……。何故か胸が苦しくなる単語です」
と、答える。



矢戸田さんと立川さんは目を丸くしてから、
「何それ、可愛いんだけど」
と、ふたりして笑っていた。






それから四人で連絡先を交換することとなった。

スマートフォンを取り出して、わいわいと話していると矢戸田さんが、
「あっ」
と、窓の外を指差した。



そこには私と同じクラスの市川 櫻子さんがいた。



「誰か待ってるのかな?」
と、矢戸田さん。



「さぁ?でもなんか、キョロキョロしてない?……藤沢さん、同じクラスなんでしょ?」



立川さんの言葉に、私は頷く。

< 56 / 195 >

この作品をシェア

pagetop