真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「デートしてたんだね」
立川さんが呟く。
私と息吹ちゃんは、
「デート……!」
と顔を赤らめてしまう。
「何?どうしたの?」
「いえ、あの、我々には縁遠いワード過ぎて、そのキラキラした世界を想像して照れただけです」
立川さんに説明した息吹ちゃんに続いて私も、
「同じく……。何故か胸が苦しくなる単語です」
と、答える。
矢戸田さんと立川さんは目を丸くしてから、
「何それ、可愛いんだけど」
と、ふたりして笑っていた。
それから四人で連絡先を交換することとなった。
スマートフォンを取り出して、わいわいと話していると矢戸田さんが、
「あっ」
と、窓の外を指差した。
そこには私と同じクラスの市川 櫻子さんがいた。
「誰か待ってるのかな?」
と、矢戸田さん。
「さぁ?でもなんか、キョロキョロしてない?……藤沢さん、同じクラスなんでしょ?」
立川さんの言葉に、私は頷く。