真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「あのね、わかんないよ?わかんないけどさ」
と、息吹ちゃんは言いにくそうに続ける。
「時田さんは、自殺じゃないって思うんだ。もし私の考えが外れて、落下したとかじゃないにしても」
「うん」
「草むらの真ん中で倒れこむなんて、私だったら嫌だよ。虫だっていっぱいいるもん。それにね、あの場所って人気はあんまりないけど、絶対に人が来ないとは言えないでしょう?」
「学校の敷地内だから、誰かが来る可能性だってあるよね?」
息吹ちゃんは頷く。
「人が命を絶とうと思う場所ではない気がする」
翌日。
県立第二高校。
昼休みの、二年六組の前。
廊下の窓のそばで。
息吹ちゃんと私は、ある人物と向かい合っていた。
「あの、話って何?」
その人は俯きながら、不安そうな声で尋ねてきた。
「私達文芸部に依頼があって、事件のことを調べています。私達は、あの日のあの時間、あなたがどこにいたのかを知りたいんです」