真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「あの……、市川さんと加瀬さんは友達なんですか?」
息吹ちゃんは市川さんにひるむことなく、質問返しをした。
「は?それもあんたに関係なくない?」
「関係ないから聞いてます」
「何それ、意味不明」
市川さんはため息を吐いて、
「友達だよ。私、この子と会ってたんだよね。その事件の日の朝」
と、口角を持ち上げた。
加瀬さんは市川さんを見つめている。
「朝早くに校内で会ってさー。もうすぐ夏休みじゃん?美術の補習ってないのかなって話になって、この子と一緒に橋谷先生に聞きに行ってたんだよ。美術室に、ふたりで。……これで満足?」
「それは、橋谷先生に確かめてもいいですか?」
「どうぞ、ご勝手にぃー。ま、確かめるとか、マジ気分悪いけどね」
市川さんの態度のほうが気分悪いな、と思っているのはどうやら私だけではないようで。
「じゃあ、確かめますね」
そう言った息吹ちゃんのこめかみに、怒りの筋が見えた気がした。