真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「ね、行こう」
と、市川さんは加瀬さんの手を引き、去って行く。
(?)
何か引っかかる。
でもその正体がわからない。
「彩葉ちゃん、橋谷先生に確かめようよ」
息吹ちゃんが廊下を歩き出した時。
午後の授業の予鈴が鳴った。
「あっ」
「……息吹ちゃん、放課後に聞こう。絶対に」
「うん」
私達は別れ、それぞれ授業に臨んだ。
放課後。
息吹ちゃんが三組までやって来た。
「彩葉ちゃん、行こう!」
「あ、待って!すぐ行く」
私は慌てて鞄を持って、廊下に出る。
東校舎。
二階にある、美術室。
美術部の人達がちらほらいる。
みんな机に向かって、せっせと何かを描いている。
「すみません」
息吹ちゃんが廊下から教室に向かって声をかけると、ひとりの女子が気だるそうに近寄って来た。
「何ですか?誰かに用事?」
私達は自己紹介と橋谷先生に会いたいことを伝えると、彼女はますます気だるそうな表情になった。