真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「トイレに行ってたんじゃない?お腹痛くなってトイレで頑張ってたから、誰も知らないんだよ」
精一杯のフォローのつもりが、寧々様の逆鱗に触れたらしく、
「馬鹿野郎っ!!イケメンはトイレとか行かないんだよぅ!!何、トイレで頑張ってたって!!やめてよ!!」
と、声を張った。
「いや、寧々様。滝口くんだってトイレくらい行くよ……。むしろ、行かせてあげてよ……」
「本当にやめて!!滝口くんは少女漫画の世界の住人なの!!それくらいに美しく、気高いイケメンなの!!そんな人つかまえて、彩葉はトイレで頑張らせてちゃダメなの!!」
「いや、私が頑張らせたわけでは……」
「その罪はすでに大罪だから!!」
(寧々様……)
もはや何も言うまい。
「トイレかどうかは置いておいてさ」
と、息吹ちゃんが口を開く。
「何をしていたのか、知りたい。どうして部室の鍵を取りに行かなかったのか。そのあと、ずっと現れなかった理由は何か、知りたいんだ」