【完結】婚約破棄が破滅への始まりだった~私の本当の幸せって何ですか?~
 最初にオレア祭で花火の打ち上げがされたときはみんなびっくりして腰を抜かした人もかなりいたみたい。
 そりゃそうよね、大きな音に火花だもん……

 でも私はこの花火がすごく好きなの。
 あ、ほら、もう打ち上がり始めた!


 街中に広がる大きな音と、その音の少し後に空に咲く大輪の花。
 何色もあって形もいろいろあって、毎年技術師のみなさんが趣向を凝らして打ち上げてくれる。
 今はもうみんな大好きな催し物の一つとなっていて、祭の最後を飾る大切な存在。

 そんな花火を空を見上げてみていると、そっとリオネル様がやって来た。

「クラリス様は花火がお好きなんですか?」
「ええ、だって綺麗じゃないかしら? こんな大きな光の花が空に咲くなんて、まるで夢みたい」
「昔から変わりませんね」
「あら、夢見がちって言いたいのかしら?」
「そうではありません、俺は素敵だと思いますよ」
「──っ!!」

 どうしてかしら、リオネル様の言葉にドキリとはねる心臓。
 いつも彼は真っすぐで、直球で、だからこそ心に刺さる。
 素敵、なんて言葉、まるで私の全てを肯定されたような気がして、嬉しかった。

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