ワケありモテ男子をかくまうことになりました。


「…っあ!そこにいたのか、なんだ焦ったあ〜…」



心底ホッとしたような、そんな安心して緩みきった笑顔の犬飼くんが私に近づいてくる。


完全に私に心を開ききっている様子の純粋な犬飼くんを見ていると、胸のあたりがどこかギュッとなって苦しくなる。



「犬飼くん……、これ私の家の鍵。私もう先に学校に行くから、犬飼くんも制服に着替えたりしてここを出てね」



戸締まりはしっかりと、ということを犬飼くんに伝えて、「あ、それとその鍵は学校で周りに人がいない時に返して」と言って玄関の方へ足を向けようとした。



────その時。



「…っちょっと待って」



犬飼くんの、普段よりも少しだけ低い声が聞こえた。


片方の腕は犬飼くんに掴まれて、歩きかけていた足が止まる。



「……なに?」

「なんでさっきから、目合わせてくんないの?それと、ゆいは朝ごはん食べたの?」

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