ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
「ほら、泣かない泣かない。毎回英語のテストで八十点以上が当たり前の杏月がそんなこと言ってたら、いつか本当に英語が苦手な子たちに恨まれちゃうよ」
「もー、イジワル言わないでぇ〜…っ。ほんとに好きじゃないの、英語だけは絶対!」
なぜここまで英語を毛嫌いするのかは分からないけど、確かに英語はムズい。私もまだスラスラ話せるレベルまではいけてないし……。
と、疲れた頭でそんなことを考えていると、突然廊下の方から女子たちの黄色い歓声が聞こえてきて、途端にその騒がしさが教室にまで伝わってきた。
「キャーーー!!なんで!?凛大くんもう帰ってきたの!?」
「わぁぁ!久しぶりに見る凛大様かっこよすぎ……はぁ♡」
「凛大くんお疲れ様、今日来てくれるなんて思わなかったぁ!」
………。
私と杏月は“あ、察し……”という表情をする。
私たちには関係ないや、と思って会話に戻ろうと口を開いた瞬間、後ろの方から物凄いスピードで走ってくる上履きの音がした。
悪い予感を覚え、振り返ろうとしたその瞬間、その動きは阻止されて突然私の背中にむぎゅうっと人一人分の重みがかかる。
「ゔぇ……っ、」